ある生き方
苫小牧に行ったときのこと。
このワタクシは、フェリーで運んだ愛車のSUVを引き取るべく苫小牧フェリーターミナルに向かっていた。
SUVなんてものを持っているこのワタクシは、当然の如くアウトドア派である(どこが?)。
少なくとも、アウトドア派を目指している今日この頃である。
愛車で北海道一周くらいできればよいかな、と思っていたこのワタクシは、苫小牧からまずは襟裳岬に行こうとしていた。
車を預けた貨物フェリーが苫小牧に入港するのは20:30くらいである。そのまま襟裳岬に向かうよりは苫小牧で一泊してから向かおうか、もしくはアウトドア派のこのワタクシだけに、野宿するか迷っていた。
たまたま乗ったタクシーの運ちゃんに、「襟裳岬までどれくらい掛かりますか?」と聞くと、念のため4時間くらいは見ておいたほうが良いとのことであった。それ以外にも、「この時期はまだ寒いので野宿は止めたほうがよい」とか、「せっかく北海道に来たのだから、昼間に走ったほうがよい」とか色々と教えてくれた。
結構会話が弾んだので、勢いあまったこのワタクシは、「林道とかないですか?」とアウトドア派ならではの質問をぶつけてみた。
すると、運ちゃんは、「待ってました」とばかりに、それまで以上に語り始めた。
「林道はたくさん知っているが、市販の地図しかなければ行かないほうがよい」
「ほとんどの林道は不法投棄の温床となっているので通行止にされてしまった」
、、、というようなことを、しばし教えてくれた。
あまりに詳しいので、その理由を尋ねると、、、
「実は、ワタクシ、横浜の出身なのですが、あまりのアウトドア好きが高じて北海道に移住してしまったのです。北海道に来てからは全道を旅しています。たぶん、道という道は通ったと思いますし、普通では考えられないようなところでキャンプしてきました」と熱弁。
そうこうするうちに、タクシーは苫小牧フェリーターミナルに着いた。
運ちゃんは扉を開けたものの、我々の会話(というよりも運ちゃんの熱弁)は終わらず、運ちゃんは更に話し続けた。
アウトドア派のこのワタクシにとっては大変有益な話だったので最後まで話を聞いた上で、「ご家族もさぞかし楽しんでおられるのでしょうね」と聞くと、運ちゃんは、「あまりに旅ばかりするので愛想を尽かされ、女房に家から放り出されました。。。」とポツリと呟いた。
これはマズイことを聞いてしまったと思った瞬間、運ちゃんは、「仕方がないので、苫小牧の郊外にログハウスを自分で建てて、私生活もアウトドアして楽しんでいます」と明るく言い放った。
彼の収入はタクシー運転によるものだけだろうから、都会で普通のサラリーマンをやっている方が間違いなく給料は高いに違いない。とはいえ、彼がそのまま横浜にいたら、好きなことをするために移動するお金だけで相当な額になってしまう。そうやって色々と考えると、都会でストレスだけを貯めて生活する意味が判らなくなってきた。
同じ人生なら、この運ちゃんの人生の方が間違いなく豊かではないだろうか。いくらお金を貯めても墓場には持っていけないが、現世の土産話をよりたくさん持っていける運ちゃんに憧れを抱かざるをえない。
運ちゃんに感化されたこのワタクシは、車を引き取ったあと、甘っちょろい林道に少し入ってみては悦に入っていたのである。

♪襟裳の春は~何もない春です~


ダートを行ってみた

調子に乗っていたら止められた。暗闇の中ダートを戻るハメに。。。










