車のハンドル
このワタクシ、車の免許はカナダで取得した。
当時(今はどうかは知らないが)、海外で免許を取得したのち三ヶ月その国にいると日本の免許に自動的に切り替えられたのである。
日本では東京の真ん中に住んでいたし、カナダでも大都会であり地下鉄網も発達しているモントリオールに住んでいたので車の必要性はあまり感じなかったのだが、将来的に日本で免許を取る金額とカナダで取る金額の差を考えて免許を取ることにした。
しかし、現実的には、帰国まで四ヶ月くらいしか時間がなかったので、急いで事を運ぶ必要性があった。
日本なら教習所に申し込みをするのだろうが、カナダではいきなり免許センターに行って仮免の申請をすることになった。そして、なんといきなり仮免が発行された。
要するに、「勝手に練習して試験を受けに来い」というのである。もちろん、練習するには免許取得者が同乗しておく必要があるのは日本と同じだが。
そこでいきなりビビッたこのワタクシは、とりあえず「行きたい人は行ってもよい」的な自動車教習所に通うことにした。
日本のように練習コースが備わった比較的大きな場所かと思ったら、その自動車教習所は、繁華街の一角のボロい建物の中にあった。
その建物では学科を教え、あとは路上で練習というのである。路上といっても、モントリオール一の繁華街である、教習所の場所が場所だけに、セント・カトリーヌ通りの人込みを掻き分けながら出発し、郊外まで行って、また繁華街に帰ってくるという、およそ初心者では不可能な路上練習であった。おまけに、季節は、既に路面が完全に凍結している冬であった。。。
いずれにしても、このワタクシは、初めて自動車の運転席に座ることになった。
パスカルと名乗った教官(といっても、これが25歳くらいのかなりの美女である)が、「サイドブレーキをリリースしろ」とか、「シフトをDにあわせろ」などと基本的な事をフランス語で教えてくれて、いざ出発となった。
その瞬間、再びこのワタクシはビビッた。
一度動いた車をどうして止めるのだ?
「足もとのペダルを踏め」とパスカルは言う。
試しに踏んでみた。
車が爆音を上げて振動した。アクセルを踏んでいた。。。
今度はパスカルがビビッていた。。。
サイドブレーキをリリースしていなくてよかったものである。
いざ車を動かしてみると簡単なものである。
特にこのワタクシの場合、やってみたら簡単なのに、いざやってみるということをしないケースが多い。(参照:「一瞬の勇気(ぱんちょな恋の物語)」)
いい気になって運転していると、パスカルが、「ハンドルの切り方がおかしい」と何度も言う。
そらそうよ、そんなことは習っていない。
というか、、、ただ回せば良いのではないのか。
教習所の前に戻ったところで、パスカルが「ハンドルはこのように切れ」と実演してくれた。
要するに、右に曲がる場合は、「右手でハンドルの左側を掴み、そして回す」イメージ、左に回す場合は逆というのである。
一方、このワタクシは、右に曲がる場合は、ハンドルの右側を握った右手でチョコチョコと何回もハンドルを回していたのであった。
「ウィ、マダム」と答えると、パスカルは「マドマゼルっだ」と言い返した。
二回目、ハンドルが相変わらずうまく切れない。
言われていることは判るのだが、なぜかその場ではできない。
何回目になってもこれができない。
遂にパスカルが怒り出した。
「なぜこれくらいのことができないのっ。私の3歳の姪っ子でもできるのにっ」
怒ったパスカルも美人ではあったが、、、そんなことよりも、さすがにこのワタクシも三歳の子供と比較されて落ち込んだ。
それから数日間、ゲームセンターの自動車レース機で、金も投入せずにハンドルの切り方だけを自主練習しイメージトレーニングを続けた。
世の中に、車の免許を取るために、これだけの自主練を積んだ人はいないであろう。
結果的に、このワタクシは、免許センターでの学科試験と実技試験をパスし、晴れて免許証を取得した。
実は、パスカルとは、いつも路上で待ち合わせて、路上で別れるという間柄である。
免許証を貰った日、つまり、このワタクシにとってパスカルとの用がなくなる日、再びこのワタクシは路上に行った。
パスカルが他の生徒を乗せて帰ってきた。
このワタクシは、免許証が取れたのでお礼を言いにきたと言って、「メルシー・ボクー、マドマゼル」と彼女に言った。
彼女は、「もう免許を取ったのだから貴方と私は対等よ。これからはマダムでもなくマドマゼルでもなく、パスカルと呼んで」と言ってウインクした。
まるで、映画「愛と青春の旅立ち」のラストシーンで、それまで鬼だった教官が卒業して行く生徒に声を掛けるシーンのようで、一人で感動したのである。
「今日はもう生徒がいないから早速ドライブに行こう」とパスカルは言った。
(追記)
ちなみに、パスカル曰く「免許が取れても御礼に来た人なんてほとんどいなかった」とのこと。
日本人的には、このワタクシだけでなく一般的に、当然のことなのに、そんなものなのだろうか。
日本人のこういうところは、いつまでも大切にすべきだと思う。











コメント (4)
なるほど、新しいぱん恋は、Macと相性が悪いみたいですね。
MacのSafariだと、ブログの全文がメールソフトとのリンクになっていて、うっかりマウスポインタが触れるだけで、文字色が薄くなってしまいます。名前欄やコメント欄でマウスを叩いた時も、メールソフトが起動してしまいます。(キーボードから慎重にカーソルを移動させるしかありません)
MacのIEだと、上記の不具合はありませんが、コメント欄に打ち込む文字が文字化けします。
少数派の戯言なので、ムシしてくださってかまいません。
障害を乗り越えてコメントしてます!っていうアピール(?)でした。
さておき、いつもウインクしてもらったり、キスしてもらったり、誘ってもらったり…
ぱん恋ワールドはパラダイスで、いいですねー。
投稿者: miha | 2007年03月22日 11:26
日時: 2007年03月22日 11:26
仮想現実くらいは楽しくないと。。。
不屈の精神でコメントいただきありがとうございます。
投稿者: Pancho | 2007年03月22日 11:45
日時: 2007年03月22日 11:45
実は私もMacのSafariを使っています。
何度もメールソフトが立ち上がってしまう中、
(メールを強制終了させながら)
今まで、なんとかコメントを書いていました。
なるほど・・・Macとの相性が悪いのですね。
他の皆さんも、自分と同じだと思っていました(汗)
(すみません。本文とは関係ないコメントで・・・)
日本の教習所の車は、教官の側にもう一つ教官専用のブレーキのペダルがあるのですが、カナダの教習所の車にはないんですね。
命がけの仕事なのに・・・
投稿者: ひまひま | 2007年03月29日 23:46
日時: 2007年03月29日 23:46
いやはや、このブログは不屈の皆様でもっているようでなによりです。
毎度ありがとうございます。
>カナダの教習所の車にはないんですね。
どっちにしても、教習所に行く人の方が少ないようなお国柄ですから。
投稿者: Pancho | 2007年03月30日 17:13
日時: 2007年03月30日 17:13