ジャンプ
最近、巷でヴァン・ヘーレンのジャンプがよく流れている。
見るともなしにつけているテレビから流れてきたり、商店街を歩いていると流れてくる。
高校生の頃、授業の英語はまったく判らないのに、洋楽の歌詞ばかり覚えていた。
まだCDも世に出てくるか出てこないかの時代で、毎日貸レコード屋に行ってはLPレコードを借りて、歌詞カードをコピーしてから家に帰り、カセットテープにダビングしながら歌詞カードを眺めていたものである。
いまだに、当時コピーした歌詞カードは本棚のかなりのスペースを占領している。
歌詞カードどおりの英語で歌っているように聞こえる歌手や、どう聞いても歌詞カードのようには聞こえない歌手がいたものだった。
中学生のときから付き合っていた彼女とは、別の高校への進学という危機に直面しながらも、なんとなく関係は続いていた。
しかし、会う回数も徐々に減り始め、遂には彼女の方から「もう別れよう」という電話がきた日も、イーグルスの歌詞カードを眺めていたのであった。
若い頃は怖いもの知らずだというが、あれは、単に様々な事を経験していないから、次に起こる事が予測できないだけの事ではないのかと今になって思う。
彼女は、僕と別れてから数ヵ月後に病気でこの世を去った。
同年代の人が死ぬなんて事を経験するのも初めてだし、それが付き合っていた、いや実際にはかつて付き合っていた女性だというのも初めてであった。
そのときに感じた衝撃に比べて、その直後にかつて親友だった男が自殺したときの衝撃は、比較してはいけないが小さなものだった気がする。
いずれにしても、短期間に二人のごく身近な人間を失ってしまった僕は、路頭に迷っていた。
その頃、彗星の様にヴァン・ヘーレンが「ジャンプっ!」と歌い続けていた。
歌詞カードをコピーして、辞書を引きながら歌詞を必死に覚えたものだった。
少なくとも、あの曲を聴いているときは、僕の中のなんとなくモヤモヤしたものが一瞬晴れていくような気がしたのである。
「もう全ての苦難は経験済みさ。あとはジャンプするだけだ」
そして、勝手に「ジャンプ」を自分のテーマ・ソングと決めて、大学受験に行く新幹線の中でもウォークマンで聞いていたものだった。
数年後、彼女の親友から妙な話を聞いた。
彼女が僕と別れたのは、自分が不治の病と知っていたからだと。
僕の親友が自殺したのは、死んだ僕の彼女を愛していたからだと。
まったく訳が判らない。
再び、僕のイヤホンからは「ジャンプ」が流れていた。
あれから、それまでの人生より長い時間が流れた。
世の中には携帯電話が普通になり、僕の着メロはずっと「ジャンプ」である。
しかし、僕はいまだに「ジャンプ」できていない。











コメント (3)
この投稿を読んでから、私の口はアングリ開いたままです。。。
七夕の夜(正確には、函館以南における七夕の夜)、私は、とあるライブ会場にいました。
ステージに、「ほっぺたにチャイニーズなヒゲの絵を描いて、赤い王冠をかぶったぱんちょさん」が登場した!?と思ってビックリし、よくよく見ると、その人がメインゲスト「王様」でした。
ちょうどその日が誕生日だという王様。
まるで、ぱんちょさんを小さくしたみたいだ…と思いながら、おもろいトークと直訳ロックのステージを楽しんでいると、最後の最後に王様は、自身が超えることのできない師として尊敬してるというヴァン・ヘイレン先生の「ジャンプ」を、「ピョン!」という翻訳で欽ちゃん風に跳躍しながら歌いまくってました。。。
あの七夕の夜のライブには、なるほど、こういういろんなシンクロが隠されていたわけですか。。。
っていうか、この驚きを、私はどう処理したらいいのでしょうか。。。
投稿者: miha | 2007年07月13日 21:04
日時: 2007年07月13日 21:04
あまりに驚いたので、涙もフッ飛んだのですが。。
これは悲しいお話ですね。
(実話だとしたら、本当に痛ましい…)
それに、いろんな意味で、示唆に富んでます。ね。
投稿者: miha | 2007年07月13日 21:34
日時: 2007年07月13日 21:34
mihaさま
>この投稿を読んでから、私の口はアングリ開いたままです。。。
。。。。。。
>七夕の夜(正確には、函館以南における七夕の夜)
七夕は場所によって違うのか。
そういえば、仙台も平塚も、有名なところはみんな8月だな~。。。
>「ほっぺたにチャイニーズなヒゲの絵を描いて、赤い王冠をかぶったぱんちょさん」
なんじゃそれは。。。
>まるで、ぱんちょさんを小さくしたみたいだ…
お言葉ですが、このワタクシは小さい。
>自身が超えることのできない師
このワタクシにとっての"やしきたかじん"師匠みたいなもんですな。
>「ジャンプ」を、「ピョン!」という翻訳で欽ちゃん風
是非聞きたい。
>この驚きを、私はどう処理したらいいのでしょうか。。。
う~む、判りません。
>あまりに驚いたので、涙もフッ飛んだのですが。。
涙はいつ出たのでしょう?
>これは悲しいお話ですね。
確かに。
>(実話だとしたら、本当に痛ましい…)
このブログの話は全て(一部)創作です。
>いろんな意味で、示唆に富んでます。ね。
嘘~。
まったく、自分では示唆を受けたことがない。
まるで、国語の試験で、「作者の意図を述べよ」と言われて、作者自身が判っていないような感覚です。
なお、23歳くらいのときに、
・自分の親友と付き合っていた女性と、二人が別れたあとに付き合う
・親友おかしくなる
・突然女性から別れを持ち出す。
・女性死ぬ
・親友死ぬ
・女性が実は不治の病だった
・親友はまだ彼女が好きだった
・数年後に全ての事実を知って途方に狂う
という前提の小説を作って文学賞を狙おうとしていたことがあります。(狙うのは勝手だ、フンッ)
ところが、忙しくて手を付けられずに10年以上経ったときに、「世界の中心で愛を叫ぶ」というなんとなく話の似た小説が話題となり、今更書けなくなったな~と思って、今回ここに登場させたわけです。
投稿者: Pancho | 2008年01月10日 20:56
日時: 2008年01月10日 20:56