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タイツをナメていた

 このワタクシ、寒さには滅法強い(と思っていた)。

 20代の頃数年住んでいたカナダを始めとして、その後もユーラシア大陸の内陸部の北の方や中国東北部、北欧というような寒さに関しては一過言あるようなところをウロチョロしてきたのだが、寒さに対する準備をしたことはほとんどない。
 それは具体的にどういうことかというと、下着は半袖の下着に普通のパンツ、その上はいわゆるサラリーマン風のスーツ、その上にジャンパーでも着ているくらいである。靴下もごく普通のもの。手袋なんて考えたこともない。ロシアに行っても、ロシア人が被るような帽子には見向きもしなかった。

 今年の冬も、スーツがトレーナーとジーパンになったくらいで、基本的には人から見たら超薄着である。まだコートも着ていなし(というか、コートは持っていないのかもしれない)、相変わらずコンビニには、裸足にスリッパで行ったりもしている。

 
 先日、ジーパンの一つがほぼ壊滅的なくらいにボロボロになっていたので、深夜にジーンズメイトにジーパンを買いに行った。
 それにしても、ジーパン屋が24時間営業というのはありがたい限りである。とにかく、人の少ない夜中に移動して、人の少ない店で買い物ができるというのはこのワタクシにとってはこの上のないことである。最近は、散髪も夜中の2時くらいに行っているこのワタクシである。

 ジーンズメイトでは、ジーパン以外にも様々衣料が売られているのだが、とりあえずお気に入りのジーパンを買うために支払いをしようとすると、レジのカウンターの近くのラックで下着がたくさん売られていた。
 そのラックに、「温熱効果抜群」などと書かれた何社ものタイツが、この時期こそとばかり並べられていた。
 「パッチが売られてるな~」と心の中で思ったこのワタクシは、いつもなら素通りするにもかかわらず、まるで神のお告げでそうしろとでも言われたかのように、多分人生で初めてそういう類の商品を思わず手に取っていた。
 ちなみに、このワタクシは、そういう下着も「タイツ」と呼ぶということをそのとき初めて知った。
 当然ながら、売り物なので、色々なキャッチフレーズが書かれてあり、各々の「タイツ」の特徴が示されている。
 そういうキャッチフレーズに弱いんですわ、、、このワタクシ。
 数分眺めたあとに、試しに一つ買ってみるかと思ってしまい、買おうとしていたジーンズと同じブランドのタイツをレジに運んだ。

 買ったものは着てみないといけない。
 家に帰ると早速、パッチ、いやタイツとジーパンを履いてみた。
 今までに経験したことがないから仕方がないのだが、妙な違和感と共に、タイツはピッチリとこのワタクシの両脚にフィットした。
 その上にジーパンを履いたあと、せっかくだからと近くのコンビニに買い物に行った。
 面倒くさいので、上は半袖のTシャツにジャンパーといういつものスタイルであった。

 歩いて1分も掛かるか掛からないかのコンビニに着くまでに、このワタクシは、タイツの強力な威力を知らされることになった。
 いくら上半身がTシャツにジャンパーだったからとはいえ、下半身がもの凄く暖かいのである。だから逆に素足にスリッパの足元がいつもになく寒く感じられる。
 「そんな馬鹿な。何かに騙されているかもしれない」と思い、検証するために、とりあえず翌日もタイツの上にジーパンを履いて外出した。
 やはり暖かい。

 既にこのワタクシは、タイツ(いや、タイツメーカーと言うべきか)の軍門に下っていた。
 昨晩、追加のタイツを手に入れるために、再び深夜にジーンズメイトに走った。
 おまけに、長袖の下着まで買いこんでしまった。

 今までの日本の冬やかつてウロチョロしていた寒い国は、このワタクシにとって本当に寒くなかったのだろうか。
 単に、色々なものに突っ張って生きいるうちの一つの行動が、「寒いと言わない」ということだったような気がしてならないのである。
 もう、ユーラシア大陸の内陸部の北の方、、、とかには行けないだろう。。。






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